生活費を渡してくれない
目次
生活費を貰えない!モラハラの該当性
配偶者が生活費を渡してくれないようなケースは、経済的な支配を伴うモラルハラスメント(モラハラ)に該当する可能性があります。モラハラは、相手を精神的に追い詰め、コントロールするために行われるもので、経済的な締め付けもその一種とされています。例えば、夫が妻に対して「生活費は渡さない」、「自分の収入をすべて管理する」、「お金が必要なら理由を細かく説明しろ」といった態度を取る場合、経済的DV(ドメスティック・バイオレンス)とみなされることもあります。専業主婦やパート勤務の方など、自分の収入だけでは生活できない状況で一方的に生活費を断たれると、日常生活に深刻な影響を及ぼします。
このような状況に置かれた場合、単なる夫婦間の金銭トラブルではなく、法的な問題として対処することが必要になります。
生活費を渡してくれない配偶者の対処法
生活費を渡してくれない配偶者に対して、適切な対応を取ることが重要です。状況によっては法的措置を検討する必要もありますが、まずは冷静に現状を整理し、段階的に対処していくことが求められます。
1.まずは話し合いを試みる
配偶者が生活費を渡さない理由として、単に家計管理の仕方が異なる場合や、意図的に経済的な圧力をかけているケースなどが考えられます。まずは配偶者と話し合い、生活費が支払われない理由を確認しましょう。その際には、感情的にならず、具体的な支出や必要な費用を明確に伝えることが重要です。可能であれば、収支を整理した家計表を用意し、客観的な視点で家計の管理について話し合うことが望ましいでしょう。
証拠を確保する
話し合いがうまくいかない場合や、配偶者が一方的に支払いを拒否する場合には、証拠を確保することが必要になります。生活費が支払われていないことを示す証拠として、銀行口座の取引履歴や家計簿、LINEやメールでのやり取りなどを記録しておきましょう。特に、「生活費を渡さない」、「自分の収入は自分のものだ」といった発言がある場合、それを示す記録が後の法的手続きにおいて重要な証拠となります。
婚姻費用分担請求を検討する
生活費を渡してもらえない状況が続く場合、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求」を申し立てることが可能です。婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係にある限り、互いに生活を支えるために必要な費用を分担する義務を指します。収入の多い側が経済的に弱い側に対して適正な生活費を支払うべきとされており、これを支払わない行為は法律に違反する可能性があります。家庭裁判所に申し立てを行うことで、適正な金額が算定され、支払いが命じられることになります。
経済的DVの可能性を考慮する
配偶者が意図的に生活費を渡さないことで経済的な圧力をかけ、自由な意思決定を妨げている場合は、経済的DV(ドメスティック・バイオレンス)に該当する可能性もあります。経済的DVは、相手を経済的に追い詰めることで精神的な支配を強める行為であり、深刻な問題とされています。このような状況では、弁護士に相談し、適切な法的措置を検討することが重要です。
弁護士に相談し、法的対応を進める
生活費を渡してもらえない問題は、放置すると長期化し、精神的にも経済的にも大きな負担となります。弁護士に相談することで、婚姻費用分担請求の手続きを迅速に進めることができ、相手に対して適正な対応を求めることが可能になります。法的な専門家のサポートを受けながら、問題の解決を目指しましょう。
生活費を貰えないことを理由に離婚できる?
生活費を受け取れないことが理由で、離婚が認められるかどうかは、状況によって異なります。日本の法律では、離婚には法定離婚事由が必要とされており、単に「生活費をもらえない」というだけでは離婚が認められないこともあります。しかし、生活費を渡さない行為が継続的かつ悪質である場合、「婚姻を継続しがたい重大な事由」や「悪意の遺棄」として離婚が認められる可能性があります。
離婚までの大まかな流れ
生活費をもらえないことを理由に離婚を考える場合、まずは協議離婚を試みることになります。協議離婚とは、夫婦が話し合いで離婚に合意し、離婚届を提出することで成立する離婚の方法です。ただし、相手が離婚に応じない場合や、話し合いが難航する場合には、調停離婚や裁判離婚へと進むことになります。
調停離婚では、家庭裁判所の調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら離婚の可否や条件について調整します。調停でも合意が得られない場合は、裁判での決着となります。裁判では、配偶者が長期間にわたり生活費を支払わなかったことで婚姻関係が破綻したと主張し、証拠を提出する必要があります。
生活費がもらえないケースでの法定離婚事由とは
日本の民法では、離婚が認められるための法定離婚事由として以下の5つが定められています。
・配偶者の不貞行為
・配偶者からの悪意の遺棄
・配偶者の生死が3年以上不明
・配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
・その他、婚姻を継続しがたい重大な事由
このうち、「悪意の遺棄」とは、夫婦としての義務を一方的に放棄することを指します。配偶者が正当な理由もなく生活費を渡さず、経済的に困窮させるような状況が続いている場合は、「悪意の遺棄」に該当するとして離婚が認められる可能性があります。
また、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる場合もあります。例えば、生活費の不払いが長期間にわたり、夫婦関係が修復不可能な状態に陥っている場合、裁判所は婚姻関係の破綻を理由に離婚を認めることがあります。
慰謝料請求が出来るケース
生活費を渡さないことで精神的・経済的な負担を強いられた場合、慰謝料を請求できるケースもあります。特に、配偶者が意図的に生活費を支払わず、相手を経済的に追い詰めることでコントロールしようとしていた場合、これは経済的DVに該当する可能性があります。慰謝料を請求するには、生活費の未払いが継続していたことを示す証拠が必要です。銀行の取引履歴、配偶者とのやり取りの記録、家計簿などを証拠として集め、弁護士に相談しながら慰謝料請求を進めることが重要です。生活費をもらえないことを理由に離婚を考えている場合、まずは状況を整理し、適切な対応を取ることが必要です。話し合いで解決しない場合は、調停や裁判を視野に入れ、必要な証拠を準備しながら進めていきましょう。
生活費をくれない配偶者への婚姻費用請求を弁護士に依頼するメリット
生活費を渡してくれない配偶者に対して、婚姻費用の請求を行う場合、弁護士に依頼することで多くのメリットがあります。婚姻費用の請求は、法律上認められた権利ですが、手続きが煩雑であり、相手との交渉が難航することも少なくありません。弁護士に依頼することで、適切な対応を取りながら迅速に問題を解決しやすくなります。
1.法的知識をもとに適切な対応ができる
婚姻費用の請求には、日本の民法や裁判所の判例に基づく知識が必要です。弁護士に依頼することで、最新の法的知識をもとに、どのような手続きが適切かを判断し、確実に婚姻費用を請求することができます。特に、配偶者が生活費の支払いを拒否している場合、法的根拠を示しながら交渉を進めることが重要です。
2. 婚姻費用分担請求の手続きをスムーズに進められる
婚姻費用の請求は、家庭裁判所に申し立てることで進められますが、その際には書類の準備や証拠の提出が必要になります。弁護士が代理人として手続きを行うことで、必要書類の準備をスムーズに進めることができ、裁判所への申し立ても適切に行うことが可能となります。
3. 配偶者との直接交渉を避けられる
生活費を渡さない配偶者とのやり取りは、感情的な対立を引き起こすことが多く、ストレスが大きくなりがちです。弁護士を通じて交渉を行うことで、配偶者と直接対峙する必要がなくなり、精神的な負担を軽減することができます。また、弁護士が代理人として交渉することで、相手も法的な対応を無視しにくくなり、適正な支払いを受けられる可能性が高まります。
4. 適正な金額を確保できる
婚姻費用の金額は、双方の収入や生活状況に基づいて決定されますが、相手が意図的に収入を隠したり、適正な金額を支払わないように主張することもあります。弁護士に依頼すれば、配偶者の収入状況を調査し、適正な金額を算出した上で請求を行うことができます。また、家庭裁判所の基準に基づいた適正な婚姻費用を請求できるため、不当に低い金額で妥協することを防ぐことが可能です。
5. 強制執行を視野に入れた対応ができる
配偶者が裁判所の決定に従わず、婚姻費用の支払いを拒否する場合、給与差し押さえなどの強制執行手続きを行うことが可能です。しかし、これらの手続きは専門的な知識が求められるため、弁護士のサポートが必要不可欠です。弁護士に依頼することで、支払いが滞った場合の対応も迅速に進めることができます。
生活費を受け取れない状況は、経済的にも精神的にも大きな負担となります。弁護士のサポートを受けることで、適正な婚姻費用の確保が可能になり、安心して生活を続けることができます。生活費の支払いを拒否されている場合は、できるだけ早く弁護士に相談し、適切な法的対応を進めることが重要です。
生活費を支払わない配偶者との離婚問題は弁護士にご相談ください
生活費を支払わない配偶者との離婚問題は、経済的・精神的な負担が大きく、慎重な対応が必要です。財産分与や慰謝料、親権問題などを適正に解決するためには、法的な準備を整えることが重要です。弁護士に相談すれば、婚姻費用分担請求や離婚手続きを適切に進めることができ、経済的に不利な状況を避けることが可能です。また、相手が離婚を拒否している場合や、条件交渉が難航している場合も、弁護士が代理人として対応することでスムーズな解決につながります。もし、離婚問題でお悩みの場合は、弊所までお気軽にご相談ください。