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別居から半年、子の引渡しを実現し親権を獲得した解決事例 ―「別居開始の違法性」及び「監護の継続性」原則が争点となった事案報告―

事案の概要と法的課題

お子様と離れて暮らす親御様から、親権獲得に関するご相談をお受けしました。別居を開始してから半年以上が経過しており、お子様は相手方の監護下にあるという状況でした。

子の監護に関する紛争において、家庭裁判所は「監護の継続性」を極めて重視します。これは、子の福祉の観点から、特段の問題がない限り、確立された安定的な生活環境の維持を優先するという実務上の原則です。したがって、本件のように別居期間が相当程度に及んでいる事案では、現状を変更して親権者・監護者を指定し直すことは、法的に高いハードルを伴うのが通例です。ご依頼者様が直面していたのは、まさにこの裁判実務上の大きな障壁でした。

当事務所の弁護活動

この容易には覆しがたい状況を打開するため、当事務所は法的論理と証拠に基づく緻密な戦略を立案し、迅速に実行に移しました。

1. 緊急的な対応を求めるため迅速な保全処分の申立て

事態の固定化を避け、審理の長期化によるご依頼者様の不利益を回避すべく、ご依頼から極めて短期間のうちに「子の監護者指定・子の引渡し審判」を申し立てました。同時に、本案審理に先立ち暫定的な監護状態を確保する「審判前の保全処分」も申し立て、これが本件の帰趨を決する上で極めて重要な手続きとなりました。

2. 主張立証活動の多角的な構成

本件における主張の核心は、単に過去の監護実績の優位性を訴えることに留まりませんでした。私たちは、①別居に至った経緯の強度の違法性、②相手方による現在の監護状況に内在する問題点、そして何よりも、③ご依頼者様のもとでの監護環境こそが、お子様の健全な発達と長期的な幸福、すなわち「子の福祉」に資するものであるという未来志向の視点を、複数の客観的証拠を用いて多角的に論証する構成を取りました。

3. 裁判所への的確な働きかけ

申立てと並行し、裁判所書記官を通じて、事案の緊急性と迅速な審理の必要性を具体的に説明し、裁判官に早期の期日指定を促しました。

審理の経過と帰結

当方の申立てとその後の折衝が奏功し、申立ての翌週に第一回審問期日が指定されるという、迅速な展開に至りました。

同日の審問期日において、裁判所は当方が提出した申立書及び証拠を深く検討した上で、当方の主張に強い理解を示し、双方当事者の審問を経て、子の監護者を当方依頼者と仮に定めるとともに、当方依頼者に対する子の引渡しを命じる保全処分を認める心証を開示しました。

この早期の段階における裁判所の的確な判断が、その後の手続全体を円滑に進める上での決定的な転機となったことは言うまでもありません。

この司法判断を受け、お子様の引渡しは速やかに実現されました。最終的に、ご依頼者様を親権者と定める内容で、協議離婚が円満に成立いたしました。

本件解決の要諦

本件解決の要諦は、家庭裁判所が判断の拠り所とする「子の福祉」という普遍的な基準に対し、いかに具体的かつ説得的な論証を展開できたか、という点に集約されます。

不利な事実(別居期間の長さ)を前に、過去の事実関係の評価に終始するのではなく、将来における子の利益がどちらの親のもとで最大化されるのかを、法的な論理と客観的な証拠をもって提示し得たこと。これこそが、監護の継続性という原則を乗り越えるだけの合理性と必要性を裁判所に認めさせ、この結論を導いた最大の要因であると分析しております。

同様の課題を抱える皆様へ

親権や子の監護に関する問題は、事案の個別性が極めて高く、その法的見通しを立てるには高度な専門的知見が不可欠です。ご自身の状況を不利であると判断される前に、まずは客観的な状況分析と採り得る法的な選択肢について、法律の専門家にご相談ください。

当事務所は、離婚・親権問題に関する豊富な経験と専門知を集積しております。初回相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと存じます。

(担当弁護士 柏田 笙磨

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